
この時期、事業者の方からよくうかがう話があります。
「電話がかかってきて、『補助金が使えるので、実質ほとんど負担なくホームページが作れます』と言われたのですが、本当でしょうか」
「今月末が締切だから急いでください、とも言われました」
締切が近い、という部分は事実であることが多いです。この補助金は1年のうちに何度も締切があり、そのたびにこの手の電話が増えます。
ただ、ネットで調べると「ホームページにも使えます」という記事と「ホームページは対象外です」という記事が両方出てきて、どちらが正しいのか分からなくなります。
そこでこの記事では、国が公開している公募要領と「ITツール登録要領」に実際に書かれている文章を、そのまま引用しながら整理します。「たぶんこうです」ではなく、要領の何ページに何と書いてあるかで判断できる状態にすることが目的です。
あわせて、当方がこの補助金の登録事業者ではないことと、業者の紹介で金銭を受け取らないことも、記事の後半ではっきり書いておきます。
【結論】制度は「ホームページ」という言葉で線を引いていません
先に答えをお伝えします。ここがいちばん誤解されている部分です。
公募要領には「ホームページ制作は対象外」とは書かれていません。書かれているのは「補助の対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけ」ということで、線はそちらで引かれています。
そして「ITツール登録要領」を読むと、あなたのために新しく作る部分は登録できないことが分かります。だから結果として、ホームページの制作費は補助の対象になりません。
| やりたいこと | 結論 | そうなる理由 |
|---|---|---|
| 会社案内・サービス紹介のホームページを作る/作り直す | 対象外 | 「広告宣伝に類するもの」「ホームページと同様の仕組みのもの」は登録の対象外 |
| ホームページのデザイン・コーディング・WordPress構築 | 対象外 | 特定の顧客向けの新規制作は「スクラッチ開発」に当たり登録の対象外 |
| お客様が予約する画面を、自社サイトに新しく作る | 対象外 | 要領が名指しで「対象外」と書いている(後述) |
| 予約を店舗側で管理する既製のソフトを入れる | 対象になり得る | 登録済みのITツールであれば対象 |
| 会計・受発注・決済のソフトを入れる | 対象になり得る | 同上(インボイス枠は補助率が高い) |
| 補助金の申請を業者に代行してもらう費用 | 対象外 | 公募要領が「申請代行費」を対象外と明記 |
境目は「あなたのために新しく作るもの」か「すでに完成して売られている製品」かです。ホームページの制作は前者なので、補助の対象から外れます。

ホームページに使える補助金が
あるって聞いたけど?

対象になるのは、ホームページそのものではありません。
そこに付ける「既製の仕組み」のほうです。
2026年から名前が変わりました(旧「IT導入補助金」)
まず名前から整理させてください。ここでつまずいている方が多いためです。
中小企業庁のページには、こう書かれています。
中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、デジタル化やDX等に向けたAIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援します。
令和7年度補正予算事業から、「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」と名称を変更しました
中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました」(2026年3月10日)
正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」、通称が「デジタル化・AI導入補助金2026」です。事務局の運営はTOPPAN株式会社が行っています。
ここで大事なのは「労働生産性の向上を目的として」という一文です。この補助金の目的は業務のやり方を変えて生産性を上げることであって、宣伝を手伝うことではありません。この目的が、あとで出てくる線引きの根拠になっています。
締切は年に何度もあります。「今回が最後」と急かされても慌てない
公式の事業スケジュールに載っている日付は、次のとおりです。
| 枠 | 締切日 | 交付決定日(予定) | 事業実施期間(予定) |
|---|---|---|---|
| 通常枠/インボイス枠(2類型)/セキュリティ対策推進枠(6次締切分まで)と、複数者連携デジタル化・AI導入枠(3次締切分まで) | 2026年10月30日(金)17:00(終了) | 2026年12月10日(木) | 交付決定~2027年5月31日(月)17:00 |
| 同上の次の回(7次・8次締切分。複数者連携は4次締切分) | 未公表(2026年10月29日時点) | 未公表 | 未公表 |
ここで、急かされたときに思い出していただきたいことがあります。
表は2026年10月29日に確かめた時点のものです。スケジュールのページにはさらに先の「7次締切分」「8次締切分」の欄が用意されていて、日付だけが未公表という状態です。ページにも「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」と注記があります。
つまり、ひとつの締切を逃しても、次の回があります。「今月末で終わってしまいます」という言い方は、正確ではありません。急かされる理由は、制度の側にはないということです。
対象になるのは「事務局に登録されたITツール」だけ、という作りです
制度の骨格を1つだけ覚えるなら、ここです。
「ITツール登録要領」は、ITツールをこう定義しています。
ITツールとは、本事業においてIT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に登録された中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上に資するソフトウェア(AIを含む。以下同じ。)・オプション・役務・ハードウェアの総称を指す。
デジタル化・AI導入補助金2026「ITツール登録要領」2-1
読みにくい文ですが、要点は2つです。
- 「IT導入支援事業者」として登録された会社が提供するものであること
- その製品があらかじめ事務局の審査を受けて登録されていること
そして申請は、事業者と IT導入支援事業者が「共同事業体」となって行います。事業者ひとりでは申請できない仕組みです。
ですから、「登録された会社の、登録された製品」でなければ、金額の大小に関係なく最初から対象外です。ここが分かると、電話で確かめるべきことも決まります(後述します)。
ホームページについて、要領はこう書いています(原文)
「ITツール登録要領」の2-3(1)2.「ITツール登録の対象外となるもの」に、そのものずばりの記述があります。長いですが、判断の根拠なのでそのまま引用します。
(シ)ホームページ制作、サイト制作、WEBアプリ制作、スマートフォンアプリ制作、コンテンツ制作等の制作ツールにおける、追加開発に掛かる費用が含まれているもの。ただし、既に完成しており、かつ追加開発に係る費用が含まれていない制作ツールは、ITツール登録の対象となる。
(ス)ホームページ制作ツールやブログ作成システム等で制作した簡易アプリケーション(情報の入力、保存、検索、表示等の簡易的な機能しか有しないもの。)や、ホームページと同様の仕組みのもの。ただし、分析機能や指示機能、演算処理、制御などのプログラムは、ITツール登録の対象となる。
(セ)広告宣伝に類するものや、広告宣伝費用が含まれるもの。
(ソ)単なるコンテンツ配信管理システム。
デジタル化・AI導入補助金2026「ITツール登録要領」2-3(1)2.
同じ節には、次の項目もあります。
(ク)製品が完成されておらず、スクラッチ開発を伴うソフトウェア。過去に特定顧客向けに開発したコード(開発実績)を他の顧客に再利用し、その顧客の要件に合わせ追加スクラッチ開発を伴うもの。
(サ)特定の顧客向けに限定され、一般市場に販売されていないもの。
同上
「スクラッチ開発」とは、出来合いの製品ではなく、その人のために一から作ることです。ホームページ制作は、まさにこれに当たります。
だから「使えます」も「使えません」も、言い切りとしては不正確です
引用した(シ)をもう一度読んでください。「ただし、既に完成しており、かつ追加開発に係る費用が含まれていない制作ツールは、ITツール登録の対象となる」と書かれています。
つまり制度が禁じているのは、「ホームページ」という言葉そのものではなく、次の3つです。
- あなたのために新しく作る部分(追加開発・スクラッチ開発)の費用
- 情報を載せて見せるだけの仕組み(=ホームページと同様の仕組みのもの)
- 広告宣伝に類するもの
制作会社が「使えます」と言うのは、完成品のソフトを一緒に売る前提なら間違いではありません。逆に「使えません」と言い切るのも、ホームページの制作費についてはそのとおりです。
ですので、確かめるべきなのは「使えるか」ではなく「見積書のどの行が対象なのか」です。ここを聞けば、話が具体的になります。
では、どういうときに何が対象になるのか(4つのケース)
ここからが本題です。実際にご相談の多い4つの場面で、要領の記述と突き合わせます。
ケース1:ネット予約を受けられるようにしたい
いちばん相談が多く、そして要領がいちばんはっきり線を引いているのがこれです。「予約受付台帳」の注意点として、こう書かれています。
顧客側が利用・予約を行う画面や機能は該当せず、店舗側で予約を管理する機能を対象とする。ただし、顧客側・店舗側で利用する機能の切り分けができない場合は、顧客側機能も対象とする。顧客側画面を新規制作する費用は、スクラッチ開発に該当するため対象外とする。
デジタル化・AI導入補助金2026「ITツール登録要領」別紙2「業種・プロセス一覧」共P-01
これを言い換えると、こうなります。
| やること | 対象 |
|---|---|
| お客様が予約する画面を、自社サイトに新しく作ってもらう | 対象外(スクラッチ開発) |
| 店舗側で予約を管理する登録済みのソフトを導入する | 対象になり得る |
| そのソフトに、顧客側の予約画面がもともと付いている | 切り分けができなければ顧客側機能も対象 |
ポイントは「作ってもらう」のか「すでにある製品を導入する」のかです。同じ「ネット予約」でも、頼み方によって結論が逆になります。
ケース2:会計・受発注・決済まわりを整えたい(インボイス枠)
いちばん条件が良いのがこの枠です。公募要領には、目的が「『通常枠』よりも補助率を引き上げて優先的に支援すること」と書かれています。
対象は「会計」「受発注」「決済」の機能を持つ登録済みソフトで、いくつの機能を持つかで上限が変わります。
| 補助対象経費 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| ソフトウェア購入費・導入関連費 (「会計」「受発注」「決済」を1機能のみ持つ場合) | 下限なし~50万円 | 2/3以内~4/5以内 |
| ソフトウェア購入費・導入関連費 (同じく2機能以上持つ場合) | 下限なし~350万円 | 2/3以内~4/5以内 |
| ハードウェア購入費:PC・タブレット等 | 下限なし~10万円 | 1/2以内 |
| ハードウェア購入費:レジ・券売機 | 下限なし~20万円 | 1/2以内 |
この枠だけの特徴として、ハードウェアも対象になります。ソフトだけでなくレジも入れ替えたい、という場合はここを見ます。ただしハードウェアの補助率は1/2以内で、ソフトより低く設定されています。
ケース3:セキュリティを強くしたい(セキュリティ対策推進枠)
この枠は対象がはっきり限定されています。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公表している「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に載っているサービスだけが対象です。
また申請の要件として、IPAの「SECURITY ACTION」の一つ星または二つ星の宣言を行うことが求められます。これは自己宣言の制度で、費用はかかりません。
逆に言うと、「ホームページのセキュリティ対策」を名目にした一般的な保守契約は、この枠では対象になりません。リストに載っているサービスかどうかが、すべてです。
ケース4:会社案内のホームページを新しくしたい
この場合、この補助金に該当する余地はありません。
会社の紹介・サービスの説明・事例の掲載といった内容は、要領の言う「ホームページと同様の仕組みのもの」「広告宣伝に類するもの」に当たります。制作作業そのものも「スクラッチ開発」です。
ここで「でも予約機能を付ければ対象になりますよ」と言われることがあります。その説明は、半分だけ正しいです。対象になり得るのは登録済みソフトの部分だけで、ホームページ本体の制作費は分けて考えることになります。見積書全体に補助が出るわけではありません。

予約機能を付ければ通る、
って言われたんだけど

間違いではありませんが、説明が足りていません。
通るのは予約ソフトの部分だけで、サイト本体の制作費は残ります。
見積書は、金額より先に「対象外の10項目」と突き合わせる
公募要領(通常枠)の2-2(4)「補助対象外となる経費」には、10項目が並んでいます。これは短いので全部載せます。見積書を見ながら1つずつ照らしてください。
| 補助対象外となる経費(原文) | |
|---|---|
| ア | 補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの。(補助事業者にとっての売上原価に相当すると事務局が判断するもの。) |
| イ | 交通費、宿泊費。 |
| ウ | 補助金申請、報告に係る申請代行費。 |
| エ | 公租公課。(消費税) |
| オ | 交付申請時において、ITツールの利用金額が定められないもの。 |
| カ | 対外的に無償で提供されているもの。 |
| キ | リース・レンタル契約のITツール。(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く。) |
| ク | 中古品。 |
| ケ | 交付決定前に購入したITツール。 |
| コ | その他、事務局が本事業の趣旨・目的から不適当であると判断するもの。 |
このうち、実際のご相談で問題になりやすいのが3つあります。
「申請代行費」は補助の対象外です(ウ)
申請を代行してもらう費用は、補助されません。「手続きはこちらでやりますので」と言われた場合、その手数料は自己負担になります。金額を確認してください。
「交付決定前に購入したITツール」は対象外です(ケ)
これがいちばん取り返しがつきません。同じ公募要領の「4.留意事項」には、さらに踏み込んだ書き方があります。
(イ)交付決定前に契約、発注、納品、支払い等を行った場合は、補助金を受けることができない。
デジタル化・AI導入補助金2026「公募要領(通常枠)」4.留意事項(イ)
「購入」だけでなく「契約」「発注」も名指しされています。つまり、判を押した時点でもう間に合いません。
「先に着手しておきましょう、申請は後から出します」という進め方は、この時点で成立しません。2026年10月30日に締め切った回で言えば、交付決定日は2026年12月10日(予定)です。動き出せるのはそのあとです。
「導入関連費」は、ソフト本体に紐づいています
設定作業・マニュアル作成・研修といった費用(導入関連費)も対象になり得ます。ただし登録要領では、これらは「登録済みのソフトウェアを1つ指定して」登録する仕組みになっています。
つまり、ソフト本体が対象でなければ、その設定作業も対象になりません。「作業費なら通ります」という説明が出てきたら、どのソフトに紐づく作業なのかを必ず聞いてください。
支払い方法にも決まりがあります(リース・第三者払いは不可)
意外と知られていませんが、お金の払い方まで指定されています。
(エ)支払いの事実に関する客観性の担保のため、IT導入支援事業者への支払いは原則銀行振込又はクレジットカード1回払いのみとする。また、支払元口座は、必ず補助事業者の口座とし、支払先口座は、必ずIT導入支援事業者の口座であることを必須とする。なお、補助事業者名義でない口座より支払っている場合、補助金を受けることはできない。
(ア)登録する担当者携帯電話番号は、他者の交付申請やIT導入支援事業者の各種電話番号として使用できない。
デジタル化・AI導入補助金2026「公募要領(通常枠)」4.留意事項(エ)(ア)
ここから読み取れることは、はっきりしています。
- 分割払い・リース契約とセットの提案は、この補助金と噛み合いません(リース契約のITツール自体も対象外です)
- 社長個人の口座や、別会社の口座から払うと受けられません
- 登録する携帯電話番号まで、自分のものでなければなりません(業者の番号を借りることはできません)
制度の側が、ここまで細かく「他人が代わりにやる」余地を閉じにきている、ということです。

GビズIDは、絶対に他人へ渡さないでください
ここは金額の話より大事です。
この補助金の申請には「GビズIDプライム」というアカウントが必要です。これは国の行政手続きで会社を証明するためのIDで、取得には法人なら印鑑証明書の原本、個人事業主なら印鑑登録証明書の原本が要ります。発行までおおむね2週間かかります。
要するに、実印に近い性質のものです。そして公募要領には、こう書かれています。
本事業において申請者が登録する各種基本情報・担当者情報(企業情報、連絡先電話番号・メールアドレス等)は、必ず申請者自身が管理するものを設定しなければならない。例えば、第三者(IT導入支援事業者を含む申請者以外の者)が管理するメールアドレス・エイリアス等の機能の利用等、メールアドレスの管理者あるいは受信者が曖昧であり、かつその交付申請内容に疑義が生じた場合は、事務局よりIT導入支援事業者に対し交付申請内容の確認を行う。その結果、本事業において申請者自身が行うべき行為(申請マイページの開設及びその後の交付申請における手続き等)を当該申請者が行っていない(なりすまし行為)と事務局が判断した場合は、補助金の交付(申請含む。)の取消し、また、当該申請者の支援を行ったIT導入支援事業者についてもIT導入支援事業者としての採択取消し及びITツール登録の解除を行う場合がある。また、申請者とその支援を行ったIT導入支援事業者の名称を公表する場合がある。
デジタル化・AI導入補助金2026「公募要領(通常枠)」4.留意事項(コ)
読みどころは3つです。
- 連絡先のメールアドレスや電話番号まで、申請者自身が管理するものでなければならない(業者のアドレスを入れてはいけない)
- 本来自分がやるべき手続きを他人がやっていた場合、「なりすまし行為」と判断されうる
- そうなると取消しに加えて、名前が公表される場合がある
さらに、事務局と中小機構は予告なく立入調査を行う場合があるとも書かれています。協力が得られない場合は交付決定の取消しになることがあります。
事務局が名指しで注意している勧誘と、5つの不正行為
公式ポータルには「不正行為にご注意ください」という専用のページがあります。そこに挙げられている注意すべき勧誘は、次のとおりです。
- 「キャッシュバック」「実質無料」といった勧誘
- ITツール購入後に返金するという約束
- 紹介料やコンサル料といった名目での金銭の受取
不正行為として挙げられているのは、次の5つです。
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| 実質的な無償提供 | 後日返金される形で販売する |
| 代理申請 | 補助対象者がGビズIDを他者と共有し、申請手続きを代行させる |
| 未導入・未実施 | ITツールが導入されていない、研修等が実施されていない |
| 二重受給 | 同じ内容で複数の補助金に申請する |
| 虚偽申請 | 従業員数を偽るなど、企業の実態を偽装する |
「申請は面倒でしょうから、こちらでやっておきます。IDとパスワードを教えてください」——これは親切ではなく、公式サイトが不正行為として名指ししている行為です。そして返還を求められるのは、預けた側ではなく事業者ご本人です。
電話を切る前に聞ける、3つの質問
知識がなくても、この3つを聞けば話が具体的になります。答えは書き留めておいてください。
- 「御社のIT導入支援事業者としての登録名と、提案されているITツールの名前を教えてください」
どちらも公式サイトで検索できます。答えられない、はぐらかす場合は、そこで終わりにして構いません - 「見積のうち、補助の対象になるのはどの行ですか。金額で教えてください」
「全部です」という答えは、要領の記述と食い違います - 「採択されなかった場合、契約はどうなりますか」
ここを口頭で済ませないでください。書面に書いてもらってください
もう1つ、覚えておくと役に立つ事実があります。中小企業庁も注意喚起していますが、公的機関が営業電話やダイレクトメールで補助金の申請を直接すすめてくることは基本的にありません。「国から委託されています」という言い方には、そのつもりで接してください。
自分で3分で確かめる手順
- 検索で「デジタル化・AI導入補助金 2026」と入れ、公式ポータルを開く(アドレスが it-shien.smrj.go.jp のものです)
- メニューの「ITツール検索」を開く
- 電話をかけてきた会社名で検索する
- 出てこなければ、少なくともその会社経由でこの補助金は使えません
- 出てきたら、登録されているITツールの名前を見る。提案の中身と一致しているかを確かめる
- 同じサイトの「資料ダウンロード」から公募要領とITツール登録要領(PDF)が誰でも読めます
迷ったら、事務局のコールセンターに直接聞くのがいちばん早くて確実です。ナビダイヤル 0570-666-376(IP電話等からは 050-3133-3272)、受付は9:30〜17:30(土日祝・年末年始を除く)。制度のことは、制度を運営している側に聞いてください。
当方は、この補助金の登録事業者ではありません
この記事を読んで「では相談室に頼めば補助金が使えるのか」と思われた方がいるかもしれないので、はっきり書いておきます。
- 当方はIT導入支援事業者として登録していません。したがって、当方にホームページの制作・修正・保守をご依頼いただいても、この補助金は使えません
- 補助金の申請代行も行いません。そもそも申請代行費は補助の対象外です(公募要領 2-2(4)ウ)
- 特定の業者をご紹介して、紹介料や手数料を受け取ることもしません。紹介料名目の金銭の受取は、公式ポータルが注意対象として挙げている行為です
当方にできるのは、提案されている内容と見積書を一緒に読んで、公募要領・ITツール登録要領の記述と突き合わせるところまでです。「この行は対象になりません」「ここは事務局に確認してください」という整理までは、お手伝いできます。
実際に補助金を使いたい場合は、次のいずれかが正しい入口です。
- 公式ポータルの「ITツール検索」で、登録済みの事業者・ツールをご自分で探す
- 事務局のコールセンター(0570-666-376)に直接聞く
- お住まいの地域の商工会・商工会議所、よろず支援拠点など、公的な相談窓口に相談する

申請も、
お願いできますか?

当方は登録事業者ではないので、申請はできません。
ただ「この見積は要領と合っているか」を一緒に読むことはできます。
補助金が使えなくても、費用は下げられます
ここまで読んで、「では、うちは全額自己負担なのか」と思われたかもしれません。
ご相談をお受けしていて感じるのは、補助金の有無より、頼み方のほうが金額に効くということです。
「全部作り直す」以外の選択肢を先に検討する
「見た目が古い」「スマホで見にくい」という理由で作り直しを提案されている場合、実際には直せば済むことが少なくありません。全面リニューアルと部分的な修正では、金額が一桁変わることもあります。
判断に迷う場合は、セカンドオピニオンとして、他社の提案内容と見積を第三者の立場で確認しています。当方で作り直すことを前提にした確認ではありません。「直せば済みます」という結論になることもあります。
見積書は、項目の粒度で読む
「ホームページ制作一式 ◯◯万円」とだけ書かれた見積は、比べようがありません。ページ数、写真撮影の有無、文章を誰が書くのか、公開後の修正が何回まで含まれるのか——ここが分かれて書かれている見積書は、それだけで信頼できます。
費用の考え方は【新規企業向け】ホームページ作成は費用を抑えて小規模からおすすめしますと、見積もり前に知っておくべき!格安ホームページ制作の裏に隠されたリスクもあわせてご覧ください。安く作ることと、安く済ませることは違います。
こういうときは、契約する前にご相談ください
次に当てはまる場合は、判を押す前に一度お声がけください。
- 「補助金が使えます」と言われたが、ITツールの名前も登録名も出てこない
- 見積書の中で、補助の対象になる行がどれか説明されていない
- 採択されなかった場合の扱いが、書面に書かれていない
- GビズIDやパスワードを教えてほしいと言われている
- 連絡先のメールアドレスに、業者側のアドレスを入れるよう言われている
- 交付決定より前に、着手・発注をすすめられている
- リース契約やローン契約とセットになっている
【まとめ】覚えておくのは4つです
- 制度は「ホームページ」で線を引いていない。線は「事務局に登録されたITツールかどうか」で引かれている
- 要領が対象外としているのは「追加開発・スクラッチ開発の費用」「ホームページと同様の仕組み」「広告宣伝に類するもの」。だからホームページの制作費は残る
- 交付決定より前に発注すると対象外になる。申請代行費も消費税も対象外
- GビズIDは他人に渡さない。連絡先も自分が管理するものにする。なりすましと判断されると、取消しに加えて名前が公表されることがある
そして、確認する場所は1か所です。公式ポータル(it-shien.smrj.go.jp)の「ITツール検索」と「資料ダウンロード」。要領のPDFは誰でも読めますし、この記事の引用もすべてそこから取っています。
補助金そのものは、条件に合えばありがたい制度です。問題は制度ではなく、制度を持ち出す売り方のほうにあります。急かされたときほど、電話を切って、公式サイトを開いてください。次の募集回は用意されています。
ご不明な点があれば、お問い合わせからお気軽にご相談ください。千葉県内の小規模な事業者様を中心に、こうした「聞ける相手がいない」ご相談を承っています。
参考資料
この記事の引用は、すべて下記の公式資料(2026年9月7日時点で公開されているもの。スケジュールは2026年10月29日に再確認)から取っています。締切・補助率・対象経費は変更される場合があります。申請の判断は、必ず最新の公募要領と事務局の案内でご確認ください。
- ITツール登録要領(PDF・デジタル化・AI導入補助金2026)——ホームページ制作・予約受付台帳に関する記述はこの資料
- 公募要領 通常枠(PDF・同上)——補助対象外となる経費、GビズID・なりすまし行為に関する記述はこの資料
- 事業スケジュール(デジタル化・AI導入補助金2026)
- 不正行為にご注意ください(同上)
- 資料ダウンロード(同上)——各枠の公募要領・交付規程はここから
- デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました(中小企業庁)
- 資金提供を行うといった勧誘等にご注意ください(中小企業庁 ミラサポplus)
※千葉県や各市町村にも、独自の支援制度がある場合があります。お住まいの自治体の産業振興担当課や、千葉県産業振興センター、商工会・商工会議所にもあわせてご確認ください。
同じことでお困りでしたら
記事のとおりに進めるのが難しいときは、次のご相談で承っています。
どれにあたるか分からないときは、ホームページの自己点検(15の質問・2分)で、いまの状態からお確かめいただけます。



